こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
ホントウにあった不倫裁判を解説します(東京地裁R2.2.20)
突然!妻が家を飛び出して、不倫相手の家に。カギを開けてゴソゴソ。探偵が宿泊の証拠を押さえました。
夫が妻に対して「不貞行為あったよね?」と問い詰めたところ、妻は「はい」と回答。夫はそれを録音していました。とてもしたたかです。
録音も後押しの証拠となり、裁判所は「妻の不倫相手は夫に慰謝料120万円払え」との判決を出しました。
以下、事件の詳細を解説します。
※争いを一部抜粋して簡略化
※判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
- 夫…H2生まれ
- 妻(A子)…S63生まれ
- 妻の不倫相手(Y男)…S54生(妻の職場で働く男、離婚経験あり)
※夫婦に子どもナシ
すれ違い

A子は結婚して約1年3ヶ月で家を飛び出しています。原因は子どもについての考え方にすれ違いがあったからです。
A子は「早く子どもが欲しい」と言っていたのですが、夫は「まずは仕事を頑張って稼げるようになりたい」と拒み、A子の不満が募っていったのでしょう。
A子がY男に相談
ある日、妻はY男に「夫と離婚したい…」と相談を持ちかけました。Y男は離婚経験があったからです。
Y男は、離婚がどれほど大変かを痛感していたので「まずは夫婦できちんと話し合った方がいい」とアドバイスしました。
Y男は紳士な対応をしていましたが、A子さんが自分を頼ってくれたことを喜び、A子さんに好意を抱きました(こういうタイプの相談から不倫に発展する確率は、梅雨の時期の降水確率より高いですよね。”あわよくば不倫”ってやつです)。
A子が自宅を飛び出す
A子がY男に相談して数週間後、突然A子が家を飛び出しました。夫に何も告げずにです。
夫は妻に連絡し、はじめはLINEで連絡をとれましたが、1ヶ月くらい経ったころからは返信がなくなりました。
探偵に依頼
夫のカンが働いたのでしょう。夫は妻の行動調査を探偵に依頼しました。探偵が調査した結果、妻の以下の行動が明らかになりました。
====
- 妻がY男の家のカギをあけて1人で宿泊
- 妻がY男と一緒にY男の家に宿泊(2回)
====
Y男に気づかれる
その後も探偵がY男の家の前で張っていたところ、Y男は「誰かに監視されている…」と気づきました。なのでその日は家に入らずにA子を車に乗せて夫の家まで送りました。
プロである探偵の影に気づくとは、Y男はすさまじいカンの持ち主ですが、時すでに遅しです。それまでに探偵が宿泊の証拠を押さえていたからです。
家族会議
夫は探偵の報告書を妻に突きつけました。その家族会議には夫妻の両親などが出席。会議は約6時間に及びました。その会議の中で、夫は以下の会話を録音しました。
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夫「えっと、じゃぁ質問しますか。あなたとY男さんは不貞関係にありましたか」
妻「ありました」
夫「はい、ありがとうございます」
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証拠をいただきありがとうございます”ってことですね。
夫は、探偵の報告書や録音などを証拠として、Y男に対して「慰謝料を払え」という裁判を起こしました。
裁判所のジャッジ

夫の勝訴です。裁判所は「Y男は夫に慰謝料110万円を払え」と命じました。
探偵の報告書が決め手となりました。これにて閉廷です。
不貞行為してない?
―― ん?Y男さん、まだ何か?
Y男「SEXしてません!自宅を飛び出したA子さんのために一時的に宿泊場所を提供しただけです。A子さんから『自宅に戻りたくないし、事情があって実家にも帰れない。友達が少ないので行き先がなく助けてくれませんか…』と頼まれたんです。泊めましたがSEXしてません」
―― 裁判所さん、いかがですか?
裁判所「いやいや。A子さんはアナタのいえのカギを持ってましたよね。そんな事情なども考慮すると、あなたの弁解は不合理と言わざるを得ない」
宿泊の証拠を押さえたらほぼ勝てます。不倫相手は裁判で色んな言い訳大喜利を繰り広げますが、通ることはほぼありません。
録音はどこまで有効?
録音はカナリ有効です。探偵の報告書+録音のタッグは鬼に金棒でしょう。注意すべきは、前後の流れも含めて録音してください。
今回は、↓ これだけだったので、ちょっと弱かったです。
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夫「えっと、じゃぁ質問しますか。あなたとY男男さんは不貞関係にありましたか」
妻「ありました」
夫「はい、ありがとうございます」
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裁判所は「前後の流れが不明なので証拠力が高いと評価するのは相当ではない」と判断しています。とはいえ、若干は「不貞行為あり」の心証に傾いたと推測しています。
録音するなら前後の会話も収録しましょう。
婚姻関係が破綻していた?
―― ん?Y男さん、まだ何か…?しつこいですね
Y男「この夫婦の婚姻関係はすでに破綻していました!」
婚姻関係の破綻とは?
たしかにY男のいうとおり、婚姻関係が破綻していればY男の勝ちです。カタ苦しくなりますが、以下理由を説明します。
そもそも浮気で慰謝料が発生するのは、婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益を侵害するからです。
そうすると、夫婦関係が破綻していたときにY男がA子とSEXしたとしても、Y男は夫婦の権利を侵害したことにならず慰謝料が発生しないのです(最高裁 H8.3.26)
「どういった状況なら破綻していると認定されるか?」ですが、別居期間の長さ、家庭内別居の状況、2人の冷えっぷりなどさまざまな事情を考慮して裁判官がジャッジします。
―― さて、裁判所さん、いかがですか?
裁判所「夫婦関係は破綻してないね」
【理由】
- 別居から2ヶ月程度しか経っていなかった
- 夫は離婚に反対し、関係修復を求めていた…etc
まぁ「この夫婦の婚姻関係はすでに破綻していた!」との主張は、ほとんど認められないです。
早めに探偵に依頼を

とはいえ、別居期間が長ければ浮気相手が勝つこともあります。
なので、「浮気しているかも…」と感じた場合は、早めに探偵に相談することをオススメします。

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