ストーカーは、被害者の安全と平穏な生活を脅かす犯罪行為です。
一方で、探偵業界に対して「ストーカー行為に加担してしまうケースがあるのではないか」という懸念を抱く人もいるかもしれません。
この記事では、探偵がストーカー目的の依頼を受け付けない理由と、それを見抜くための方法について詳しく解説します。
また、実際のストーカー被害者が探偵に相談する際の注意点や費用についても解説。
探偵業法やストーカー規制法の観点から、探偵業界の取り組みと法的責任を解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
探偵はストーカー目的の依頼を受け付けません
結論から言うと、探偵はストーカー目的での依頼は絶対に受け付けません。
探偵業界では法律によってストーカー行為につながる依頼を厳しく禁止しています。
探偵はプライバシーに関わる調査のプロフェッショナルですが、同時に法令遵守と倫理的な行動が求められる職業でもあるのです。
ストーカー行為に加担することは、探偵業の信頼性を損なうだけでなく、重大な法的制裁を受ける可能性があります。
ここでは、探偵がストーカー目的の依頼を断る理由について、探偵業法とストーカー規制法の法的側面から解説していきます。
探偵業法による規制
探偵業法は、探偵業務の適正な運営を確保し、依頼者と調査対象者の権利利益を保護することを目的としています。
特に第六条(探偵業務の実施の原則)では、探偵業者が業務を行う際に個人の権利利益を侵害してはならないと明確に定めています。
これは、ストーカー行為のような個人の生活の平穏を害する行為を禁止する趣旨です。
さらに、第九条(探偵業務の実施に関する規制)では、探偵業者が調査結果が違法行為に用いられることを知った場合、その業務を行ってはならないと規定しています。
つまり、依頼者がストーカー目的で調査を依頼していることが判明した場合、探偵はその依頼を拒否しなければなりません。
これらの規制に違反した場合、探偵業者は営業停止や廃業命令などの厳しい処分を受ける可能性があります。
ストーカー規制法による制限
ストーカー規制法(正式名称:ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、ストーカー行為から個人の安全と平穏な生活を守ることを目的としています。
ストーカー規制法第七条では、ストーカー行為をするおそれがある者に対して、その行為の相手方の個人情報を提供することを禁止しています。
これは探偵業にも適用され、依頼者がストーカー行為を目的としていると判断される場合、探偵は調査対象者の氏名、住所、勤務先などの個人情報を提供してはいけません。
たとえ依頼者が「元恋人の居場所を知りたい」といった理由を述べたとしても、その背後にストーカー的意図がある可能性を慎重に判断するのです。
探偵は依頼の目的をどのように見抜くのか
依頼の目的を正確に把握することは、探偵事務所にとって非常に重要なことです。
特にストーカー行為につながる可能性がある依頼の場合はそれを見抜き、断らなくてはなりません。
しかし、依頼者が真の目的を隠そうとする場合もあるため、単純な質問だけでは不十分なこともあります。
そこで探偵事務所は、依頼者との詳細な面談や背景調査、そして専門的な判断力を駆使して、依頼の真の目的を見抜くよう努めます。
ここでは、探偵事務所がどのように依頼の目的を見極めているのかを詳しく解説します。
依頼の目的を詳細に確認
探偵事務所は、依頼者との初回面談で依頼の目的について詳細な聞き取りを行います。
この過程では、単に「なぜ調査が必要か」を尋ねるだけでなく、具体的な状況や背景、さらには調査結果をどのように使用するつもりかまで確認します。
例えば、「元恋人の居場所を知りたい」という依頼であれば、なぜ連絡が取れなくなったのか、どのような経緯で別れたのか、再会して何をしたいのかなど、細かい点まで質問するのです。
また、依頼者の回答に矛盾がないかを注意深く確認し、必要に応じて追加の質問をします。
探偵事務所は、詳細な依頼目的の確認を通じて、表面上の依頼内容と実際の目的との間にズレがないかを見極めます。
依頼者の説明が曖昧だったり、質問に対して回避的な態度を取ったりする場合は、ストーカー目的の可能性を疑い、さらに慎重な判断を行うよう徹底しています。
対象者との関係性を精査
探偵事務所は、依頼者と調査対象者との関係性を詳しく調べることで、依頼の真の目的を推測します。
元恋人や元配偶者に関する調査依頼の場合は、恋人関係が終了した後の接触の有無や、相手からの拒絶の有無などが重要な情報となります。
また、依頼者が提供する情報だけでなく、必要に応じて独自の調査を行うことも。
例えば、SNSなどの公開情報をチェックして、依頼者と対象者の関係性の実態を確認することもあります。
関係性の精査を通じて、依頼がストーカー行為につながる可能性がある場合、例えば相手が明確に関係を断っているにもかかわらず執拗に接触を求めているような状況が判明した場合、探偵事務所はその依頼を断る判断をするのです。
依頼者の言動や態度をチェック
探偵事務所は、依頼者との面談中の言動や態度を注意深く観察します。
これは、言葉で表現される内容だけでなく、非言語的なコミュニケーションからも重要な情報を得るためです。
例えば、特定の質問に対する緊張や戸惑い、感情的な反応、視線の動きなどは、依頼者の真意を探る手がかりとなります。
また、依頼者の態度が過度に焦っていたり、執着が強すぎたりする場合もしっかりとチェックしています。
正当な理由がある調査依頼であれば、通常は冷静に状況を説明できるはずです。
逆に、感情的になりすぎたり、相手に対する強い恨みや執着を示したりする場合は、ストーカー行為につながる可能性が高いと判断されます。
さらに、依頼者が提供する情報の一貫性や詳細さも重要なチェックポイントです。
ストーカー目的の依頼の場合は、情報に矛盾や曖昧さが見られることがあります。
ストーカー被害者からの相談について
先述した通り、探偵はストーカー行為を目的とした依頼は受け付けませんが、逆にストーカー被害者からの相談や調査依頼には積極的に対応します。
被害の証拠収集や加害者の特定など、専門的なスキルを活かしてサポートします。
ただし、緊急性の高い状況や身の危険を感じる場合は、まず警察への相談を優先してください。
ここでは、ストーカー被害者が探偵に相談する際の注意点や費用について詳しく解説します。
ストーカー調査の費用相場
ストーカー調査の費用は、調査の内容や期間によって大きく変わります。
一般的な相場として、短期の基本的な調査で10万円から30万円程度、長期にわたる詳細な調査では50万円以上かかることもあります。
具体的な費用の内訳としては、以下のようなものが考えられます。
- 初期相談料:多くの探偵事務所では無料ですが、有料の場合は5,000円から2万円程度。
- 基本調査費:ストーカーの身元特定や行動パターンの調査など。1日あたり5万円から10万円程度。
- 証拠収集費:写真や動画による証拠収集。1日あたり3万円から7万円程度。
- 報告書作成費:調査結果をまとめた報告書の作成。2万円から5万円程度。
- 機材使用料:必要に応じて防犯カメラなどの機材を使用する場合の費用。
これらの費用は事務所によって異なり、また調査の難易度や緊急性によっても変動します。
依頼前に複数の探偵事務所から見積もりを取り、内容を比較検討しましょう。
また、分割払いや途中解約の可能性についても事前に確認しておくのがおすすめです。
身の危険を感ている場合は迷わず警察へご相談ください
ストーカー被害で身の危険を感じている場合、最優先で取るべき行動は警察への相談です。
緊急時の対応や法的措置の実行は警察の役割です。以下の点を念頭に置いておきましょう。
- 緊急時は迷わず110番:身の危険を感じる緊急事態の場合、すぐに110番通報してください。
- 警察署への相談:緊急でない場合も、最寄りの警察署に相談しましょう。多くの警察署にはストーカー対策の専門部署があります。
- 証拠の保存:メールやSNSのメッセージ、着信履歴など、ストーカー行為の証拠となるものを保存しておきましょう。
- 被害届の提出:継続的な被害がある場合、被害届を提出することで警察の本格的な介入が期待できます。
- ストーカー規制法の活用:警察は必要に応じてストーカー規制法に基づく警告や禁止命令を出すことができます。
探偵事務所の調査結果は、警察への相談や被害届提出の際の補強資料として活用できます。
ただし、身の危険がある場合は調査の結果を待たずに即座に警察に相談してください。
あなたの安全確保が最優先であり、探偵事務所も危険な状況では警察への相談を強くおすすめします。
記事のまとめ
探偵はストーカー目的の依頼を絶対に受け付けません。
これは探偵業法とストーカー規制法による規制に基づいています。
探偵事務所は依頼の目的を詳細に確認し、対象者との関係性を精査し、依頼者の言動や態度をチェックすることで、ストーカー目的の依頼を見抜き、断りますのでご安心ください。
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