こんにちは。弁護士の林 孝匡です。
ホントウにあった不倫裁判を解説します(東京地裁 R4.8.18)
夫が、行きつけの美容室の従業員と不倫。
妻が探偵に依頼して深夜自宅デートを押さえます。妻がその証拠を夫に突きつけ「慰謝料を払う」という離婚協議書にサインさせました。夫は「強迫された!」と争いますが・・・
裁判所
「夫は妻に慰謝料450万円を払え」
妻は、かなり大きい金額を勝ち取ることができました。探偵の証拠をうまく活用した交渉、妻の行動がお見事でした。
以下、事件の詳細を解説します。
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
当事者
- 妻(原告)
H4生まれ - 夫(被告)
S60生まれ - 夫の不倫相手(以下「A子」)
美容室の従業員
年齢不明
事件の概要
夫はモテた模様
まずは夫婦のなれ初めから。出逢いはラウンジです。
妻はホステスとして働いており、そのお店に夫がお客さんとして来店したのです。
夫は生命保険会社の保険営業の業務を個人事業として行っており、稼いでいたのでしょう。
夫は当時、別の女性と結婚していましたが、ホステスとして働いていた妻と交際を開始。その後、別の女性とは離婚し、妻と結婚することになりました。
夫は遊び人
ーー 旦那さんは結婚後、落ち着きましたか?
妻「いえ。他の女性とLINEをして、夜に会う約束やデートの約束をしていたんです。夫を問い詰めたんですが否定するばかりで…。でも一応『これからは怪しまれるような行動は慎む』と言ってくれました」
A子と出逢う
「今後、慎む」と言った男性が慎む可能性は消費税より低いので、案の定、トラブル勃発です。
ーー 旦那さん、A子さんとの出逢いは?
夫「行きつけの美容室の担当者からA子を紹介されました。A子もその美容室の従業員でした。LINEを交換して連絡をとりあうようになりました」
探偵会社に依頼
ーー 奥さん。旦那さんの何が怪しかったんですか?
妻「まずは、夫とA子とのLINEやりとりを知りました。別の女性もあるんですよ。深夜に、A子とは別の女性の自宅から帰ってくることも繰り返していたんです。もうこれは浮気している!と思い、探偵会社に依頼しました」
その後、探偵が夫の行動調査を開始し、「夫がA子の自宅に深夜まで滞在」したことをつかみます。
離婚協議
約1週間後、妻は夫と離婚協議に臨みます。その場には、妻の友人と探偵会社の探偵も同席しました。
妻はその場で、以下の事項が書かれた離婚協議書を夫に差し出しました。
- 夫は妻に対して離婚に伴う慰謝料として1500万円を支払う(分割)
- 夫は今後、Aに対して一切連絡をしない
- 合意事項に違反した場合は、違約金として800万円を支払う
- 夫が妻に申告した事実にウソがある場合は、800万円を支払う など
夫は離婚協議書に署名押印。そして妻は離婚届を提出して離婚が成立しました。
こんなものは無効だ!
夫は署名押印した後、冷静になったのでしょう。
5日後、「強迫されて署名押印したにすぎない。こんな離婚協議書は無効だ!」と書いた書面を妻に送付しました。
妻は慰謝料1500万円を求めて提訴。
【不倫裁判】裁判所による判決を弁護士が解説
結論から言うと、裁判所は慰謝料450万円だけを認めました。
しかし、この450万円はとても大きいです。
探偵の報告書を突きつけたことによって夫にサインさせていますし、不貞期間が1ヶ月と短かったにもかかわらず裁判所は450万円もの慰謝料を認めているからです。順番に解説します。
強迫された?
夫は「妻に強迫された。『離婚協議書にサインしなければA子の両親や私の上司に損害賠償請求する』と脅された。だから取り消す!」と主張しました。
しかし裁判所は「そんな発言はなかったと認定する。夫が畏怖したとまで認めることは困難」と判断しました。
しかし裁判所は「1500万円は若干高い…。違約金800万円も高すぎる」として、婚姻の経過や不貞行為の状況、協議書作成の状況などを総合考慮して「慰謝料は450万円だけ認める」と判断しました。
探偵の報告書がなければ?
金額が若干、削られましたが450万円という金額は相当大きいです。
もし離婚協議書にサインさせていなければ、裁判所は数十万円の慰謝料しか認めなかったでしょう。不貞期間が1ヶ月と短かったからです。
妻、お見事
今回の妻のお見事な行動は、探偵に依頼して証拠をつかんで、その証拠をもとに大きめの慰謝料額が書かれた合意書にサインさせたことです。
裁判所で若干金額が削られましたが、それでも450万円という、相場をはるかに上回る慰謝料を獲得できています。
慰謝料額が決まる要素
ちなみに、裁判所は以下の事情などを総合考慮して金額をハジき出します。
以下、
X | あなた |
---|---|
A | 配偶者 |
Y | 浮気相手 |
- 婚姻期間
- 子どもの年齢、養育状況
- 不貞の期間、回数
- AとYのいずれが主導的であったか。
- XがYに対して「Aとの関係を絶ってほしい」と申し入れたか
- XとAは離婚したか
- XA間が悪化した原因がAYの不貞行為以外にもあるか
- XとAの夫婦関係が円満であったかどうか
- 同居か別居か
- Xも別人と不貞関係にあったか
- XはAを許しているか
- XのYに対する報復行為の有無、 内容 など
人生いろいろ、男もいろいろ、女だっていろいろ。
ましてや不倫関係はカオスなので、さまざまな事情を考慮して裁判官が金額をハジき出すのです。
記事まとめ:不倫してそう・怪しいと感じた場合は早めに探偵にご依頼ください
探偵に依頼して証拠をつかむと、今回の事件ように、かなり有利に交渉を進めることができます。
裁判に持ち込む前に、探偵の報告書をつきつけて合意書にサインさせるのはカナリ有効な方法です。
少し大きめの金額にしておきましょう。相手が「これは高すぎる!」と裁判に持ち込んで、実際高すぎたとしても。
裁判所が相場の金額を認定するだけで、別にマイナスにはならないからです。
確実な証拠を確保するためにも「あやしい…」と感じ始めたら、プロである探偵に依頼することをオススメします。
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